都会の子らよ

おいで おいで 帰っておいで
曾祖父の捨てた この山へ
青田が広がる道を抜け 風薫る野をかけて
おいで おいで 帰っておいで
曾祖母の捨てた この海へ
白きしぶきを躍らせる 命溢れるこの海へ

まだ日の高い今日のうち
大地を蹴って 帰っておいで
黄金の風 青いきらめき 光の渦
頭上に広がる 蒼の世界
眼下に広がる 碧の世界
笑いさざめく人の声
恐怖 慟哭 悲哀 苦しみ
すべてをもって 帰っておいで

ごらん ごらん 見上げてごらん
紺青の空に 白い月
滑る光は 冷ややかで
水面に浮く 憐れな稚魚の
青白い腹を てらしてる

はやく はやく 帰っておいで
血色の雨が降る前に
母がお前を守れるうちに
はやく はやく 帰っておいで
幼い私の童たち
まだ日の暮れぬ今日のうち

あをの世界をめざしておいで

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