2022-10-02 / 最終更新日時 : 2022-10-02 trobairitz 光 浜辺の音(琴ケ浜、島根県) 鳴き砂で有名な島根県の琴ケ浜。 歩くと砂同士がキュ、キュとこすりあう音がします。 私はそれまで鳴き砂がたてる音を聞いたことがありませんでした。 海水浴シーズンを終えた広い海岸線に沿って、一歩、一歩、キュ、キュ、という音を […]
2022-09-20 / 最終更新日時 : 2022-09-20 trobairitz 光 (お話)雨のまどろみ (空と大地のはざまで) 雨の日の地中から小さな震動が響く 雨粒が地面を打つ音ではない 地中からあるいは地表から、雨音に合間に交じるささやきのような音 それはこだまのようだけれど、木霊でなく、どちらかといえばすべての植物、 […]
2022-09-04 / 最終更新日時 : 2022-09-04 trobairitz 光 (お話)トカゲとアゲハの幼虫 私は白い箱の中で暮らしている。体が不自由なのだ。 小さいころからなぜか腕を失う幻影をよく見ていた。そして、ある朝目覚めたら、本当に腕がなかった。 ただ、そう驚きも気落ちもしなかった。腕がないのはそれなりに不自由だったが、 […]
2022-08-01 / 最終更新日時 : 2022-08-01 trobairitz 光 (お話)天文または宇宙の模様 ひどく暑い午後を越え、気持ち良い風が吹く夕べのことだ。 そのころ私は、私のために大きな犠牲を払った弟に対して、その犠牲を贖えるものを見つけたくて、長い旅をしている時で、自分では思いがけない人に出会ったり、思いがけない場所 […]
2022-06-20 / 最終更新日時 : 2022-06-21 trobairitz 光 (お話)ミカンとひよこ 森は夏の気配に満ちている。花の香、土の匂い、葉のささめき。 日差しは強く気温は高いが、木陰にいれば暑くはない。踏み固められた道を、町に向かって下っていたが、途中、小さな倒木があって、その上に夏ミカンの木があった。座るのに […]
2022-05-17 / 最終更新日時 : 2022-05-17 trobairitz 光 (お話)雨上がり 「お前はとても汚いわ」薄汚れた犬を見て、お嬢さんは顔をしかめた。雨はとても激しいけれど、この子を家に入れると、後が大変かもしれない。 「玄関まででいいかしら?」 お嬢さんは歌うようにそういって、濡れそぼった犬を玄関口に入 […]
2022-05-09 / 最終更新日時 : 2022-06-05 trobairitz 光 (お話)雨の道に満ちる音 朝、雷の音で目が覚める。幼子が窓枠から頭を覗かせる。雲の中を踊る龍の姿が垣間見える窓の外をつぶらな瞳が一心に見ている。 雨が空気を洗って、塵はすべて地面に落ちる。地面はただ優しく受け止める。そういう様をただ見ている。 濡 […]
2022-04-30 / 最終更新日時 : 2022-05-09 trobairitz 光 ズール族のビーズ ズール族は日本ではかなり知られるアフリカの部族の一つです。 南アフリカを訪れた際は、彼らの住む土と草でできた家や、観光産業としてのダンス鑑賞などに触れることがありました。大地に寝づいていたそれこそ持続的だったはずの文化が […]
2022-03-07 / 最終更新日時 : 2022-03-07 trobairitz 光 (徒然)膨らむ主食 「米は炊いたらふくらむから、超うれしいよな」日に焼けた顔をくしゃくしゃに目をいっぱい細めて笑った海外で出会った無邪気な同国の友人がいた。 行き摺りだったけれど、しばらく一緒に旅した元気で屈託のなかったその友人が言った言葉 […]
2022-01-23 / 最終更新日時 : 2022-01-23 trobairitz 光 フクロウばあさんの知恵の毛 フクロウばあさんは、コンクリートのビルの上の高い木のアパートの最上階に住んでいます。 生き物たちの様々な活動から、森林は減り、ばあさんの家の周りもすっかり住宅街。アパートの窓からは、1ブロックむこうにある小学校のグランウ […]