南極昭和基地で一年暮らすことを考える
昔職場で出会った人のお話がとても面白かったので、そのお方のお話を少々。
国立極地研究所職員として大気の研究で南極昭和基地に一年滞在された方の話です。
無類のスパイス好きで、南極に行く前に段ボール4箱分の唐辛子を別送船便で送ったという方です。段ボールのサイズが気になるところ。4箱になったくらいだから、小さくはないんでしょうねぇ。唐辛子もいろいろ種類があって、ブレンドも楽しければ山椒やゴマで風味付けをするとまた変わり、好きになると大変奥が深いのだとか。
浅草近くにあるやげん掘七味唐辛子本舗という店で、四季ごとにご自分で考案したレシピの七味唐辛子ブレンドを特注で作成いただいているそうです。自分で風味や味を考えながらレシピを考案するのが楽しく、それを受け取る時はもっと楽しく、もちろん使うときは本当に楽しいそうです。
これだけでも割と強者感があふれていますが、この方が有名だったもう一つの理由が、よく食べる、ということでした。
食べても太らない質の方なのか、良く運動されるのか、小さい方ではなかったですが、太っているという印象はなかったです。これは彼の幸運であったようです。南極では、ただ寒いというだけで体の脂肪がどんどん燃えるそう。どんなに食べても太らなかったし、たくさん食べるように皆から言われていたそうです。
ところが一年たって下界に戻ってきたら、食欲は残ったものの南極にいた時ほど脂肪燃焼せず、というので、「やっぱり少し体重増えてきてるんですよねぇ」とのことでした。
飲み会の後にラーメンの替え玉20玉!
南極には行ってみたいけれど、昭和基地でも一年も過ごしてみたいけれど、そんな副作用(?)があるなんて!?(その副作用はいらないかも…。脂肪が燃えるところまでで良いのに…。)
話を聞いてびっくりしたものでした。気さくでなごやかな方でしたが、家族や友人と時々しかつなげないテレビ電話だけでつながりながら、1年間、南極で元気に滞在して立派に職務を務めあげた芯の強い先生なのでした。
南極料理人という映画がありますが、「昭和基地の雰囲気ってまさにあんな感じですよー」と笑っておられました。
何かをやり遂げた人だけが持っている穏やかさと思いやりと、本当に何でもないことのように語るその素朴さが、やはり人と違いました。
旅が人を育てるのではないけれど、なにかを終えた時に自身が変わっていることはあるように思います。もとからそういう方だったからこそ南極に呼ばれたのかもしれないけれど、私もそういうふうに人生経験を積んでいきたい、と思ったのでした。