蛍 (鴨川、京都)

夜の散歩が楽しい時期です。

昨晩蛍を見に行きました。

田舎に住んでいた時、蛍は田んぼの水路に、思いがけず現れるものでした。なので、見に行けば見られる、というものではないと思っていましたが、今日から雨と聞いていたので(予測に反してお天気持ちそうです)、今年は蛍を見れないかもしれない、と思って昨晩思い立って、蛍がいると人づてに聞いた川べりに向かったのでした。

京都三条駅から北へ向かう鴨川沿いです。

しかし高瀬川沿いという話も聞いていて、電車を降りたらまずは高瀬川の方に行ってみました。

そうしたら、あら、そんな時間帯にはふつうは外を歩いていないちっちゃな男の子2人と乳母車を押したお母さんが川をのぞき込んでいます。男の子二人は遠足よろしくちっちゃなリュックも背負っています。

案内人の発見です。ふふ。あんまり近づくのも何ですので、10メートルくらい離れて彼らを追って行ってみました。「いない」「いないね」と言いながら、高瀬川をのんびり歩いて、鴨川へ。

いましたねぇ。鴨川はメインの川の横っちょに、「床」という夏の風物を支える流れがあるのですが、そこは流れも緩やかなんですね。草の陰に緑色のきれいな光が、ついては消え、消えては付きと、光っています。鴨川と聞いたときは、元生物学者として、あの流れでは蛍の幼生が育つのは無理ではないかと、と思いましたが、なるほど「鴨川」です。

親子とはその後別れて(一方的な同行者でしたが)、もう少し北に上がって暗いところに行ったら、もっといました。ものすごく多いわけではないのですが、視界に10匹くらいいればそれなりに華やかに感じます。

今年は、お会いしたことのない人も含めて、それなりにご縁のある人たちが3名とそれから愛犬がすでに旅立ちました。

蛍の光は幻想的で美しいだけでなく、とても平和な風景なので、なんとなく今年逝ってしまった命の安寧を感じてほっとするのでした。

その後四条に向かって川べりを散歩して帰りましたが、あまりに多い若者と、そのにぎやかさに圧倒されました。

若者は元気ですね。

外国人も日本人も、ただ寝っ転がっているだけの人、ギターや歌を歌う人、おしゃべりに講じる人など、200人くらいそうだなぁ、静かな蛍の光を楽しんだあと、人間の世界の元気な輝きを楽しんだ晩になりました。

科学は進んで、蛍の光はルシフェラーゼという発光物質であるとかいろいろなことがわかっても、目の前で静かに光る静けさの魔力が消えるわけではありません。親子連れの散歩道を思うに、おそらく高瀬川と鴨川の両方で見れるよう。

なんにしてもこんなに簡単に蛍が見えるなんて、びっくりしました!

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