コーヒーの生豆
旅の途中で、コーヒーの生豆をいただきました。
巷では、グリーンコーヒーが流行っていた時代でしたが、生豆は固くてかたくて、自分が持っているミルで力任せに挽いてミルの刃を壊してしまったりしたので、グリーンコーヒーとして飲むこともなく、なんとなく2年間、ただただ持ち歩いていました。
しかしこれではただの荷物!生豆が固すぎてミルで挽けないから飲めないわけですので、焙煎してみることにしました。
なんせ旅の途中でしたので、焙煎は簡単にやりたい。
すごく煙が出る、コンロが汚れるなどのうわさを聞いて、滞在している宿でやってしまっていいものか、とても悩んでしまいました。焙煎用に簡単な器具(日本なら銀杏煎り用の器具)を買っても、焙煎は難しいと聞くので、これっきり使わないかもしれません。
困ったな…と思ううちに何年もたってしまったんですね。
今回、力技ですが、えいやっとお鍋で焙煎しました。
フライパンでも良かったのですが、量的にそのお鍋がぴったりで。親切な方が、一回お湯で洗うと良いと教えてくれました。その作業にもピッタリです。
早速生豆を熱湯に浸しました。5分くらい。
びっくりびっくり!
薄皮のとれることとれること。これをすると火の回りが汚れなくなるそうです。つまり焙煎すると台所が汚れる、という話は、焙煎の途中でコーヒーの薄皮が舞ったり、炭化して煙が出ることが遠因のよう。ひとまず宿のおかみさんに怒られなさそうで、ほっとしたことを覚えています。
何度も薄皮を洗い流して、ぬれたまま、そのまま焙煎スタート(ずぼらでして)。
中まで均一に火を通すことがおいしく焙煎するコツということで、いっそ蒸すつもりでのんびり弱火から始めました。時々回して、全体の温度をできるだけ均一に、と心がけました。
ずぼらな私、適当な私ですが、色が変わってきたときはちょっと嬉しく思いました。
30分くらいで、ささっと終了。火の回りも汚れず、水はすぐに飛んで、カラット煎り上がりました。ミルでも簡単に挽ける硬さになっていて、目前の問題も解決。
でもなぜかしら。煎り立ての豆のはずですが、いそいそコーヒーを淹れたとき、豆が膨らむ様子は認められず、ややがっかり。
味は浅煎りコーヒーの普通の味でまずくはなかったですよ。
浅煎りの豆はグリーンコーヒーと同じく、クロロゲン酸やカフェインが壊れていなくて、少し豆茶あるいはお薬みたいになります。目も覚めますが、痩せるのにも効果的なんだそうです。
その後、コーヒー豆屋さんとおしゃべりした際に、生豆は常温保存をすると良く、しばらく置いても焙煎した際に味に大きな変化がないと教えていただきました。でも、あくまでそれは一年以内の保存を想定してのお話のよう。
経験的には、食品は低温保存で長持ちする印象ですが、ことコーヒーは生豆と深入りの豆は冷凍しない方がいいのですって。
不思議…。
豆の中の水分なんかがそのポイントになるそうです。
人それぞれ、別に好きにするのですが、知識があってするのとしないのとでは違います。
私自身は、淹れるときに、膨らむ豆を見るのが好きなので、豆の中の炭素は逃がしたくない。そういうわけで、可能な時は今でも冷凍庫にいれてしまいます。
今回の台所コーヒー焙煎は、手軽でちょっと楽しい、年甲斐もなく、やってみようと、と思ってやった焙煎でした。
結果?
ちゃんと全部飲んだので、無駄なく、おいしく、満足です。
自家焙煎は奥が深いそうです。焙煎したては確かに良く膨らむそうですが、豆が膨らめばいいというわけではなく、焙煎して4日目が、程よく炭素も抜けて、適度に膨らみ、おいしいコーヒーになるそうです。