(茶屋)さるや (下賀茂神社 京都)
カフェには本を読むために。あるいは家だと飽きやすい、または時間を取りにくい書き物を仕事をするために、そのついでに香り立つコーヒーと甘いお菓子を。
そういう私ですので、このコロナ下、長居のし辛くなったカフェからやや足が遠のきがちですが、ここならば問題なし、というのが、下賀茂神社の休憩どころ、さるやさん。
こちらは、時代ものが好きな方が喜ぶような、ザ・茶屋といった趣の茶屋なんです。
夏や優しいお味のかき氷、冬はストーブにおぜんざい。最近は140年ぶりに申餅というお茶うけも復刻されました。優しい甘さで、添えられるほうじ茶に良く合います。
糺の森の木陰の下で、夏は暑い中にひんやりと氷菓を求め、冬はコートの襟を合わせてほっこり座る。
下賀茂神社のイベントの開始時間を待つ間や一日歩いた帰りに通りすがったときに、本当に休むためだけに座りたくなるほっとする茶屋。
座ってじっと本を読んでいると、観光客のお嬢さんたちや、ご家族連れなんかがワイワイ行き来し、ときにはのんびりなごんでいかれます。
会話を小耳にはさみながら、片手に本を読みながら、風を感じて不思議なくらい安心して座っていられるさるやさん。
下賀茂はみたらし団子発祥の地ということで、観光客の皆さんはそちらのお店に行く方も多いですが、リピートしちゃうのはさるやさんだと思います。京都にはお茶屋さん風のお店はほかにもありますし、大きな神社に行くと似たような趣向の休憩どころは確かにあります。ただ、神社仏閣、それなりにあちこち歩きまわっている私ですが、糺の森ひっそりとあるこのお茶屋さんのような場所を他に見たことがありません。
そんな机もなくて、野外の腰掛に座るようなところゆっくりできない、と最初は思っていたのですが、浅はかでした。とっても落ち着くんです。外に開けていることは、今や利点でもありますね。
机はないので書き物は無理ですが、本はゆっくり読ませてもらえます。そういう人をそっとしておいてくれようとすることを感じられる空間です。
自分を囲む空気をただ感じたくなったらぜひ足を運んでみてほしいお茶屋さんです。