(雑文)塩

舌炎を塩で治してから、私は塩にこだわるようになりました。

美味しい塩、という観点からではなく、製造過程がポイントです。海外に行くと、うれしくなって、その土地の塩を買ったりもするようになりました。

さて、現在私が使っている塩は、アイスランドで、土産物屋で見た(100gひと箱1000円)後でスーパーで見つけて買い求めたもの(100gひと箱500円弱)で、ともかく総じて物価は高い国だったので、値の張る塩です。ノルディックシーの海水を結晶化させたという、見事な大粒の塩の結晶となっている塩なのですが…、これが全く美味しくなくて、料理も美味しくできなくなり、塩の力にびっくりするとともにかなりの意気消沈でした。(今使ってます)

料理って、塩をいれたら大概美味しくなるでしょう、食材からの味もありますし。

この塩にはそれが全くないです、皆無。粒が大きくて、見た目は美味しそうなのに…。

基本的に岩塩も含めて、大きな結晶にしている塩は大変高価ですし、通常美味しいものだと思っていた固定観念は見事に覆りました。

我が国にも、観光地に行けば藻塩など、土産物屋で見かけることがありますが、これはフレーバーを付けているもので、海外で言うところのハーブソルトです。白い食塩が欲しいときはスーパーへ。スーパーでは赤穂の塩、瀬戸内海の塩、伯方の塩など、それぞれに売りがあります。赤穂や伯方は精製の仕方、瀬戸内海や天草は海水の取れた場所、ですね。

私はこれまで、日本では、塩を変えたからと言って何か気づきがあったことはあまりなく、どの塩を使ってもそれなりだと思っていましたので、化学工場で人工的に作られていないものであればなんでもオーケーでしたが、フランスにいた時に発見したカマルグの塩は、料理の素材の味を引き立てる大変美味な塩でした。日本では100g、1000円くらいですが、現地では3ユーロ。これは今でも私の中の塩選手権金賞です。

ちなみにフランスといえば、ゲランドの塩が有名ですが、ゲランドの塩の良さはよくわかりませんでした。スーパーに行くと、粒子の径が大きくなるごとに価格が上がっていたので、粒子の小さい物しか使ったことはないです…。

しかし、ノルディックシーソルト!

何故にこんなにまずいのでしょうか。ソディウムクロライドという感じです。なんでしょう、化学物質的。。。

寒いところは海のミネラルが少ないのでしょうか…。ということは塩もNaClだけでなくて色々な不純物(その他のミネラル)が入っている方がおいしい?

この間まで使っていた、瀬戸内海天日干しの塩、500g、100円前後に負けるとなると、残念度が高いです。

でも、これもまた現地の自然や暮らしをよく表していて面白いです。北国の食料は、今でこそ他のEU諸国からの輸入によってにぎわっていますが、基本的には魚だけであったのだろうと思います。

魚にこの塩で料理やスープかぁ。

イギリスやノルウェーで味わったフィッシュスープの味を思い出し、ついでに申し上げますと私の料理もそんな味になるようになり、ということは、バイキングやケルトの人が初期に文化を築いている地方で、料理がおいしく発展しなかった理由は、もしや塩…?

思いがけず、塩について考察するきっかけになったのでした。

海はですねぇ、それは波が高くて、とても強い勢いで岸に打ち付けられていて、波の上を舞う海鳥を見ているだけで、その海鳥に敬礼したくなるような海でした。猛々しい、でも優しさを秘めているような、そんな海でした。

アイスランドは、ノルウェー以上に何もかもが高額でした。運輸システムが発展し、食材は十分豊富になりましたが、それでも、売られているものは決して新鮮そうではなく、一方で価格は通常より高く、やはりこれらの国で食料品はひどく貴重なままなのです。総じて物価が高くなるのは避けられないのでしょう。

車で2時間で、美しく厳しい自然に出会える国アイスランドは、地熱発電で国民のすべての電力をまかなうことができる大変なエコの国です。もともとは哺乳類が生息できない土地でした。人類が家畜動物を持ち込んで、蛇などの外敵もいなかったために、今アイスランドで飼われている動物は、安全であることを前提として生きており、皆とても穏やかで動じないそうです。

人口も少なく、国民の幸福度も低くはありません。

そして、ヨーロッパでは修士課程のための学生の留学先としても人気で、フランスの知人でここに留学した人は、みな金髪に碧眼の北欧の方と恋に落ち生涯の伴侶を得ており、愛の国として、私に認識されています。

観光で頑張っていることも関係しているとは思ますが、神話も生活の中に生きているようで、色々感じるものがある国でした。パンもとても美味しかったです。異文化体験、ネイチャーツアー、ともかくなんだか不思議な国でした。

ただともかく塩は美味しくない。

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