子供の成長⑥
僕が僕らしくあるために
僕には夢が必要だった
僕が幸せであるために
認めることが必要だった 世界の嘘は 正しいことだと
チシャ猫が笑う
世界は嘘に満ちているかい? それとも真実に?
わからなかった
まったく全然 分からなかった
分かりたくもなかった (かもしれない)
ただ 途方に暮れていた
真実は混沌に沈み 己を内から照らした 灯はすでに消え
手を伸ばしても つかむものはない けれど 伸ばす手の向こうには 消えたはずの懐かしい灯
ハートのクイーンは嫌なやつ?
そうじゃないんだ、だからじゃないんだ
地上から遥か高みに 踏みしめることができる地面がある
だから 僕は夢を追う
*
ごらん あの青 変幻自在
ごらん あの白 無限の始まり
足元に地球 頭上に宇宙をもち
巣立ちを望んで 力んで巣から落ちたヒナ
未知を恐れて じっと巣に居座るヒナ
そのどちらも僕だった
*
時間とともに、持っていたものを失い 時間とともに持っていたものを 取り戻す
子供と大人のつながりは まるでメビウスの輪のようだ
だから今日も夢を追おう
嘘を現実にするために
きっといつか見つけるはずだ 顔を上げたすぐそこに
あの頃確かに持っていた 想見の灯