2022-09-20 / 最終更新日時 : 2022-09-20 trobairitz 光(お話)雨のまどろみ (空と大地のはざまで) 雨の日の地中から小さな震動が響く 雨粒が地面を打つ音ではない 地中からあるいは地表から、雨音に合間に交じるささやきのような音 それはこだまのようだけれど、木霊でなく、どちらかといえばすべての植物、 […]
2022-05-17 / 最終更新日時 : 2022-05-17 trobairitz 光(お話)雨上がり 「お前はとても汚いわ」薄汚れた犬を見て、お嬢さんは顔をしかめた。雨はとても激しいけれど、この子を家に入れると、後が大変かもしれない。 「玄関まででいいかしら?」 お嬢さんは歌うようにそういって、濡れそぼった犬を玄関口に入 […]
2022-05-09 / 最終更新日時 : 2022-06-05 trobairitz 光(お話)雨の道に満ちる音 朝、雷の音で目が覚める。幼子が窓枠から頭を覗かせる。雲の中を踊る龍の姿が垣間見える窓の外をつぶらな瞳が一心に見ている。 雨が空気を洗って、塵はすべて地面に落ちる。地面はただ優しく受け止める。そういう様をただ見ている。 濡 […]
2021-08-10 / 最終更新日時 : 2022-05-10 trobairitz 光星読みの友人 はるか昔に、私が南半球を旅していた頃、一人の星読みと友人になった そのころ彼女はまだ少女と言っても良い年ごろで、南十字星を指さして教えてくれた それからずっと、遠い彼の地で夜遅く図書館から出るときは、南に輝く十字の星を見 […]
2021-05-27 / 最終更新日時 : 2021-06-28 trobairitz 光(空想)優秀な兄弟 君のテストの点がよくたって、君が大人の言うことをよく聞く良ゐ子だとしたって、何も絶望することはない。 大きな町の小さな家に生まれた3人の兄弟の話をしよう 上の子は、おとなしくて社交的で要領がよくてテストも山をあてて乗り越 […]
2021-05-06 / 最終更新日時 : 2021-05-06 trobairitz 光お嬢さん 街をぶらぶら歩きたい こんなに天気が良いのだもの 美しいもの きれいなもの 可愛いもの 眺めて 見つけて 手に取って 1つでも買えたら もう とても楽しい でも それは ささいなこと 友達と おしゃべりしたり 店頭の品 […]
2021-04-01 / 最終更新日時 : 2021-04-02 trobairitz 光迷宮 小さなおばば 迷宮の中にいる 思うより深いけれど 恐れるより浅い 助言は あるようで 見落としがち 標識は 丸いようで 四角い 簡単に考えるべきか 複雑に考えるべきか わりきるべきか 賢いはずのおばば 途方に暮れる ばか […]
2020-12-20 / 最終更新日時 : 2020-12-21 trobairitz 光踊り歌った この年になりますと、若い頃の生活そのものを、まるで踊り歌って過ぎていった時間のように感じるものです。 それなのにそれなのに、知り合いの当時20歳をいくつか過ぎたお嬢さんが、言いました。 踊り歌った時からこぼれた 透き通っ […]